10話 鍛冶屋 ワーグ

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 「…連合国の国々と軍を破壊し尽くし我らが王国を樹立する、(なんじ)が一番選ばぬ選択肢と思ったがな、(わらわ)の愛しいロラ…」  その瞬間、ロランは飛び起きた。気づくと全身から滝のような汗が出ていた。「それにしても、嫌な夢だったな。夢なのに硝煙(しょうえん)の匂いを感じたような気もするんだが…」と思いながら着替えを済ます。  7月に入り、カール記念学校は夏季休暇のため、今日は靴磨きの師匠であるブラームスが紹介してくれた鍛冶屋に行くことになっていた。 「4年7ヶ月後には、王都に行き王立魔法学園の入学金を稼ぐため冒険者稼業をする際、各装備の可動範囲が大きく、軽く、頑丈である、ガントレット(手甲)やグラディウス(剣)などの装備を整え生命の危機に対するリスクを軽減させよう。それなら、『理力眼』を使用し自作した装備がベストだな」と考えていたからである。  ブラームスが作成した鍛冶屋までの地図は、お世辞にも分かりやすいものではなかったが、それでも何とか目的地まで着き、ドラゴンをモチーフにしたドアノッカーを使用する。 「コン。コン。…」 「コンコンコンコンコン。…」
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