10話 鍛冶屋 ワーグ

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 「やかましいな。おい小僧、お前がロランか。何度もドアノッカーを叩くな!…」  ドアから身長が低いが筋骨隆々なドワーフが出てきた。  ロランは、このドワーフを見てこの世界が異世界で、魔法があり、人間の他にもエルフやドワーフ、魔人や魔物や獣人が存在する世界であることを思い出した。  教会に保護されカール記念学校に行き、靴磨きとゲオルグ体術道場で仕事を行う3ヶ月の日々の中では人間しか出会わなかったからである。  「小僧、今、わしを化物と思っただろ。わしの名は『ワーグ』だ。ここいらの鍛冶の元締め(もとじめ)でもある。誇り高いドワーフであって化物ではないよく覚えとけ!」  「……」  「わしらドワーフからすれば、人間の方が化物なんだがな。まぁ、20年来の友であるブラームスの紹介だから鍛冶を見せてやる。小僧着いてこい!」  とぶつくさ文句を言いながら、ロランを工房へ連れて行く。  ワーグは熟練の(わざ)で、鋼を何度もハンマーで叩き不純物を取り除き炭素量を均一化していく、焼入れをし、焼き戻すことで硬く強靭な鋼を生み出しガントレットやプレートアーマーを作成していく。   
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