10年目の事実

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会場スタッフの案内で和やかな笑いを上げて、それぞれの席に着く中で、亜夜は空いている隣の席を見つめながら椅子に座った。 ー あれ?まだ来てないのかな? 会場の照明が暗くなって新郎と新婦の入場が始まるというのに、隣の席は空のままで亜夜は不安になってしまった… ドアが開き新郎と新婦の姿が現れた時、背後からスタッフの声が聞こえて来たが、すぐに周りの歓声に掻き消されてしまった。 パチパチ、パチパチ…… 亜夜も周りに習って席から立って入場する新郎と新婦に拍手を送った。 新郎と新婦が手を繋いだまま座るのを見届けた後、亜夜も椅子に座ると… 「綺麗になったな」 忘れもしない優しい声に、亜夜は目を丸くして振り返ると… 「……井守先生…」 10年振りに見る想い続けていた彼の笑顔に、亜夜は胸が熱くなった…
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