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自部屋のベッドに倒れ込んだ泉はグスッと小さく鼻を啜り目を閉じる。
ー 石橋先生…
そう、泉が恋している相手は先ほど学校で別れた男性教師で、鈴ちゃんの父親だった…
4年前 ー
隣に先生が身重の奥さんと引っ越してきた。
近くの高校に赴任してきた先生が虚弱体質の奥さんのために、昼休みの間に家へ帰れるよう探した物件だった。
その年に鈴ちゃんが産まれたけど、その引き換えに奥さんはお亡くなりになられた…
それ以来、先生のお願いもあって鈴ちゃんを家で面倒を見ることになった。
一人っ子の泉は妹が出来たみたいと、喜んで鈴ちゃんをたくさん可愛がってあげていた。
泉が先生のいる高校へ入学してからは、先生と二人で登校していた。
奥さんを亡くした先生は毎朝、玄関に立てている遺影に挨拶してから登校していることは見たことがある。
泉も最初は先生をお隣さんで学校の先生としか見ていなかったが、いつしか恋するようになっていた…
調理師を志していた泉は料理教室で習った料理を土日に、先生の家で作り鈴ちゃんたちを喜ばせてあげていた。
「パパ!いずみねえちゃん、すずのママになってくれたらいいな!」
「あはは、パパは鈴が大人になるまで結婚はしないよ」
鈴ちゃんと楽しそうに話す先生を見つめながら、泉はいつしか先生の妻になりたい気持ちが強くなっていった…
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