10年目の事実

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ー 3年後 課長に昇進した亜夜は出張が多い営業部から広告部に異動してからは、定時で退社するようになった。 「お先にね」 「は~い、お疲れ~!」 居残る部下に声を掛けた亜夜はルンルン気分で会社を出ると、淳の待つマンションへ愛車を走らせる。 「ただいま~」 「お帰り」 マンションに帰った亜夜が部屋に上がると、淳はキッチンで夕食を作っていた。 「楓~、ただいま~」 リビングでハイハイしている愛娘を抱き上げると、キャキャと娘は歓声を上げる。 亜夜は2年前に淳と結婚した。 昨年の春に長女を産んだ。 淳は教職を辞めた後、塾の講師に転身している。 「アヤ、明日は休みだろ?どっかへ行く?」 「うん!楓を喜ばせたいからね。どこか…」 「動物園か水族館は?」 「いいわね!」 夕食で娘に食べさせながら亜夜は明日のことを淳と楽しく語り合う。
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