未開封の手紙

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ー 6年前だったから、今はもう大学生か社会人になってるだろうな… 光夫は鮎美の現在を気にしたが、手紙をあとで読むためポケットに入れると再び、整理を始めた。 「藤井先生、まだ終わらないですか?」 「もうちょいで終わるよ。君らはもう帰っていいよ」 「いいえ、最後までやります」 クラスが新校舎に移ったため、自分の持ち物を運ぶのと整理を生徒たちに手伝ってくれた光夫は帰っていいよと促したが、誰一人帰る者はいなかった。 「みんな、手伝ってくれてありがとう!」 数十分後、全てが終わり光夫は生徒たちにお礼を述べた。 「みんな、先生からのお礼でドーナツを奢ってあげるから。帰りの支度をして来いよ」 「わーい!やったあ!」 歓声を上げる数人の生徒はバタバタと部屋を出て行くのを見送った光夫は、少し暗い目を外へ向けた… ー 鮎美…
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