未開封の手紙

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「藤井先生、どうしたら生徒たちと仲良くなれますか?」 「お互いの気持ちを正直に晒すだけだよ」 「え?それだけで?」 光夫は教室へ向かう途中で緊張と不安の混じった彼女に質問され、立ち止まり簡単なアドバイスをすると彼女は目が点になる。 「最初は先生も緊張しますし、不安も抱えます。生徒たちも同じ思いですよ。だから、お互いの本音をぶつかり合えば気持ちが和らぎますよ。だから仲良くなれるんですよ」 「藤井先生も最初は緊張と不安は抱えてましたよね?」 「ああ、逃げたい気持ちでいっぱいでしたよ」 最初はビビって逃げたくなったよ、と笑う光夫に彼女も気持ちが軽くなったのか白い歯をみせる。 「橋場さん、よく頑張ったな」 「はい!生徒たちと仲良くなれて嬉しいです!」 無事に授業を進められた上、短い時間内で生徒たちと仲良くなった彼女に、光夫は労いの言葉をかけると、彼女は嬉しそうに力強く頷いた。
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