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「あたし…祖母が死んじゃって…祖母の遠い親戚に養子として引き取られたの…」
「そうか…鮎美、すぐ手紙を出さなくてすまなかった…」
「ううん…あれで良かったと思うわ…」
部屋へ連れてきた鮎美を抱いたままソファーに座った光夫は、鮎美から経緯を聞き胸が痛くなり詫びたが、鮎美はいいえと優しく笑う。
「決して、先生のことは一度も忘れたことはないわ。高校を出たら先生のいる東京へ行こうと思ってたわ。少し時間が掛かったけどね…」
「大変だったろうな?よく俺を見つけれたんだな」
「実習はたまたまよ。先生のいる学校へ実習に行けるとは思ってなかったわ!神様が引き合わせてくれたのかな?」
「鮎美…俺を先生と呼ばないでくれる?」
光夫は鮎美の髪を撫でながら名前で呼んでと促すと…
「み…光夫…」
「はい、よく出来ました」
顔を赤くして名前を呼ぶ鮎美の震える唇に、光夫は優しく唇を重ねた…
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