サヨナラ、桜を見る君。

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その男の子は拓人(たくと)という名前だった。 好きなアニメやマンガが同じでよく話すようになり、そのうち仲良くなった。 気づけば一緒に帰ったり、勉強したり、家でゲームをして遊んだ。 友達に誘われてお祭りに行ったり、遊園地にも一緒に行った。 クリスマスもバレンタインも愛香は拓斗を巻き込んだ。 拓斗はいつも楽しんでくれた。 それと、やっぱり変わっていた。 何をしても、「こんなのは初めてだ」と言った。 単に感動しやすいだけなのだろうと思っていた。 そうやって、初めてを感じている時の彼の瞳はきらきらしていた。 吸い込まれそうな、宇宙みたいに少し青みがかった瞳を見るのが、愛香は好きだった。 拓人と過ごす時間を重ねていくたびに、愛香は拓斗に想いを募らせるようになった。 それでも、友達以上恋人未満の関係を続けていた。 今の関係を壊したくなくて、なかなか想いを打ち明けられないまま、秋が過ぎ、冬が終わり、再び春が訪れようとしていた。
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