4.箱根への旅(1)

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それから箱根登山鉄道に乗り換えて、ケーブルカーに乗り換えて、ロープウェイで湖尻に到着した。そこから船で元箱根へ向かい予約したホテルには3時前には到着した。 凜は箱根へは修学旅行で一度来ただけと言っていたので、途中の大涌谷ではロープウェイを降りて二人で散策した。 凜はまるで修学旅行の生徒のようにはしゃいでいた。ここでは人目も気にならないと見える。そして湖尻で軽く食事をした。 案内された部屋は和室で窓際の小部屋にはソファーがあって湖が良く見える。露天風呂ではないが、湖が見える温泉のお風呂がついていた。 「お風呂がついているけど、僕は大浴場に行ってくる。君はどうする?」 「私も大浴場に行ってきます」 二人は浴衣をもって早速、大浴場へ行った。久しぶりの温泉はいい、身も心も温まる。 部屋に戻ると凜はまだ戻っていなかった。窓際のソファーに腰かけてビールを取り出して飲んでいる。 窓から芦ノ湖の湖面が見える。遊覧船が動いていく。今日は快晴で湖面に周りの山々が映り込んでいる。 絵葉書のようで眺めていると心が休まる景色だ。いつまで見ていても飽きがこないし、少しずつだけど時間と共に変化している。 浴衣に着替えた凜が部屋に戻ってきた。凜の浴衣姿を見るのは初めてだが色っぽいので、じっと見つめていた。 「そんなに浴衣姿が珍しいですか?」 「きれいだし、色っぽいね、いいもんだ浴衣姿は、目の保養になる。どう、ビール」 「はい、私もいただきます」 凜は僕の正面に腰かけた。そしてうまそうにグラスを空けた。 「おいしい」 「いい、飲みっぷりだね」 「温泉に浸かって、湯上りにビール、やっぱりこれが最高ですね」 「親父みたいなことを言うね」 「もう一杯お願いします」 もう一杯もうまそうに今度はゆっくりグラスを開けた。凜は満ち足りた表情を見せて僕に微笑んだ。僕もグラスを空けると、凜が注いでくれる。 「少し酔いが回って気持ちいい。横に座っていいですか」 「もちろん」 凜が隣に座って寄りかかってくる。こちらも寄りかかるようにしてバランスをとる。
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