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「上手じゃん……おいしそう。これ、なんてケーキ?」
「よくぞ聞いてくれた。これは……ザッハトルテだ!」
「うわ、大好き!」
「ちなみにあんずジャムなし!」
「そうなんだーってそれザッハトルテじゃなくない!?」
「俺はチョコレートケーキが好きなんだ! 前々から、ザッハトルテにあんずジャムが入ってない状態で食べたいなーと思っていた!」
「ざ、ザッハトルテの意味ない!」
突っ込みつつ、私は、タカヒロがお皿に出したザッハトルテ(暫定)をまじまじと見る。その上には、何かが乗っていた。
「……ん?」
「あんずジャムを挟むんじゃなく、酸味のあるハーブティーで似たあんずの果肉を薄切りにしたものを乗せてあるんだ。これなら、好みで好きな分だけ口に入れられる。ケーキ部分だけでもいいし、あんず多めで食べることもできる。酸味を強めたあんずが、ぜんざいと塩昆布理論で最後まで舌をダルくさせることなく食べられるんだ」
「え、すごいじゃん……食べてもいいの、これ?」
タカヒロがお盆を出して、ティーポットとケーキを乗せた。
「もちろん。さあ、部屋に戻ろう」
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