真っ白なノート

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会社に勤めて五年たつが、いつまでも下っ端のまま、このまま仕事を辞めてもいいと思った。  ふと気が付くと五メートルは離れていた隣の席の女性がいつのまにか私の隣にぴったりとくっついている。私はびっくりし、少し離れようとしたが彼女は私に手に持っているノート開き、差し出した。黒い、マジックペンで書かれていた。そのノート内容は明日の日付で書かれており、私は興味を得た。 ●月〇日 (私の名前) ――午後六時に―通りを歩いていると女性が襲われているので助ける。―― と汚い字で書かれていた。 読み進もうかとその途中で私はノートを取り上げられた。 「こ、これは?」 私が彼女に視線を送ると、 「けけけけ」 とまるで口裂け女のような声を出して、ちょうどついた途中の駅で降りて行った。  私は少しの間、呆然としていた。 私があのノートに文字を書いた覚えはないし、そもそもあんなに字が下手くそでもない、女の子を救った覚えもないし、そもそも救える度胸もない。 確かに私の名前が書かれており、私は不思議な気持ちになった。 しかし、家に近づくにつれてそんな気持ちも落ち着き、布団に入ることにはそんなことなどすべてを忘れていた。     
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