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玄夢にとって鏡に映った自分が目の前にいるような感覚。
「ハツミさんもお疲れ様です。稽古の方は大丈夫でした?」
「問題ありません。私が会話した内容は、いつものように玄夢様の携帯端末に転送しておきました。後でご確認を。それとこちら、着替えになります」
ハツミは足元にあった紙袋を玄夢に手渡す。
「ありがとうございます」
玄夢は藪柑子で付いた酒やタバコの臭いを消すために、衣服を脱いで、体をウエットティッシュで拭き始める。
「康隆様の今晩のご帰宅は、0時ごろになる見込みです。明日午前は予定通り玄夢様が剣道の稽古に参加して頂き、午後は私が入れ替わります。もし、お体を休めたいようでしたら私が終日稽古の方に参加します」
「お気遣い感謝します。テスト期間も過ぎましたし、私が動けるところはなるべく動くようにします」
「分かりました。ではまた明日。バッグをこちらに」
玄夢は「瓜守菊乃」のバッグを渡し、「朝上玄夢」のスクールバッグを受け取った。
タクシーの扉が開き、さっそうと夜道へ出ていくハツミ。
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