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夕ヶ丘高校――それは、都心から西に離れた「夕ヶ丘」に敷地を持つ奥月運営のエリート高校。
グラウンド3つに体育館3つ、テニスコートに武道館などスポーツ施設が充実しているほか、実験棟や図書館、講堂や宿泊所など一般的な高校にないような施設も点在している。
そんな奥月ならではの贅を尽くしたような高校に通う第二学年――朝上玄夢。
彼女がたどる罪科の道は、ここより始まる。
10月21日(金) 12時
窓から吹き込む秋風。
暑くもなければ寒くもない、心地よい風が教室の中をなでていく。
閑散としていく教室の中、一人、机でうつ伏せになっている玄夢。
大地をイメージする深緑のスカートに、夕日を表現する茜色のブレザー。
新芽が天に背を伸ばすように、彼女の頭からはポニーテールが生えている。
「お~い、寝ているのか~、朝上」
ふと前方から聞こえてくる呼び掛け。
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