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日が沈み、仕事終わりの大人たちが立ち寄る大衆居酒屋「藪柑子」。
「いやー、Mr.グレードの炎マジック。何度見てもすっげーな!」
「すっげーけど、あそこまで炎を操れるって一周回って恐ろしくないか? 毎回消火器持って裏で控えているけど……あの安定感、ずっと見入っちゃうわ」
「分かるー!」
藪柑子のスタッフルーム。
休憩をしている男性2人に、パソコン作業をしている玄夢。
玄夢は身バレ防止のため、度の入っていない丸メガネで顔つきを変え、加えて「瓜守」という名札を付けていた。
「なー、瓜守さん! あんたもMr.グレードの炎マジック、すげーと思うよな!?」
「……彼らはそれが仕事ですから」
「あれ、まさかの興味ない感じか? ここでバイトする奴らは、9割がた毎週金曜のステージショー目当てだと思ったんだが」
「仕事中とはいえ風鳥奇術団の公演をただで見られるのは、おいしすぎるぜ。俺、このままここに就職しようかな」
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