6人が本棚に入れています
本棚に追加
「このお店はお客さんもそうだけど、従業員も楽しく居られるような場所であって欲しいの。だから、悩みがあるなら言って。あたいがいつでも相談に乗ってあげる」
「……私なら大丈夫です。これでも楽しんでいます」
「本当に? 何か人間関係で嫌なことが――」
「大丈夫!」
はっきりと、大きな声でマスターの言葉を遮断する玄夢。
「……分かった」
マスターは折れたように目を閉じ、そのままスタッフルームを後にした。
部屋にただ一人残された玄夢。
突き付けられた「孤独」を紛らわすように、再びキーボードを鳴らすのであった。
10月21日(金) 21時30分
ホールでの仕事が一段落し、店の前にあるゴミ捨て場へと足を運ぶ玄夢。
手にしていた袋をネットの下に放り入れ、大きく一息つく。
「ふう……ん?」
ふと視界に入った「シダレヤナギ」――そこを居城としている黒き存在。
「……今日は大人しいのね……ナギ」
最初のコメントを投稿しよう!