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「いえ、兄が二人いますよ。大兄ぃとは九つ、小兄ぃとは六つ離れています」
「へぇー、意外だな。三人兄弟の末っ子なんだ」
きょうだいがいるにしても、自分と同じく女、しかし自分とは異なり、優しく(そして美しい)姉たちに溺愛されて育ったとかなら納得出来るのだが。と秋川は妄想した。
しかし、甘え上手ではあるだろう。
今もこうして秋川はまんまと瀬田に乞われるがままに、平日の夜、彼の部屋を訪れて共にベッドの中に居る。
瀬田が秋川の部屋を訪れる回数の方がずっと多いし、秋川もほとんど拒まないのだが、瀬田は秋川が自分の部屋へと来てくれることの方がずっとずっと喜び、・・・そして又、興奮もした。
「おまえこそ、実家に帰らなくてもいいのか?」
「ウチは神奈川ですから何時でも、それこそ日帰りでだって帰れますよ。だから、ね?いいでしょ?慎一さん」
瀬田からキスでねだられると、仕方がないな。と思ってしまう自分が、秋川は不思議だった。
しかし、条件はちゃんと付ける。
「わかったよ。ただ、ウチの部署は女性が多いし、家庭がある人もいるからそっち優先で」
「慎一さんって本当に優しいですねぇ。さすがは、経理部の眼鏡王子」
「へ?何だソレ?」
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