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秋川を紹介しようとする瀬田を、目黒と呼ばれた男は両手で耳を塞ぎながら遮った。
「嫌だ!聞きたくない!ヒドイ!ヒド過ぎる!この、魔性の男!おれの気持ちを知りながらこんな・・・」
「慎一さん、気にしないでください。この人は目黒さんといって、このワイン売り場の責任者でソムリエです。何時もワインのアドバイスをしてもらってるんですよ」
これで気にするなって、ムリだろう。と秋川は、自分が罵られているというのに、全く歯牙にもかけない瀬田へと言ってやりたい衝動に駆られたが、堪えた。
ここで自分までもが加わってしまったのならば、このワイン売り場はドキッ!男だらけの修羅場、一歩手前になってしまう。
それにしても、この目黒とかいう男の口振りから察するに、瀬田は目黒とは一体どのような関係なのだろうか?と秋川は首をひねる。
「おれを無視して話を進めるな!晴季、おまえカワイイ顔して、相変わらず性格は悪いよなぁ・・・」
「ありがとうございます」
いやそれ、けっして褒められていないから。と秋川は心の中で、清すがしく目黒へと返事をする瀬田にツッコミを入れた。
目黒の矛先が、秋川へと向く。
「ふーん、察するにコレが、おまえの愛しい先輩ことラブラブダーリンか」
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