178人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのシャンパーニュだけじゃない。ひと月程前から『住のゑ』で出される酒類はウチが卸している。晴季にはフラれたが、得意先が一軒増えたな」
「目黒さんに『住のゑ』を紹介したんです。相手がいなくて寂しいって言うんで」
「・・・・・・」
自分がフッた相手に、ハッテン場を紹介する瀬田の面の皮の厚さも相当なものだが、そこにノコノコと出掛けて行って、顧客の新規開拓までやってのける目黒も商魂たくましい限りだと、秋川は感心した。
マイノリティ故のしたたかさなのだろうか?
「で、『住のゑ』に行ったら行ったで、これ又、どストライクの陸斗までも彼氏持ちで、しかも、晴季とは親友だと言うから、どんだけ人の心を弄べば気が済むんだ!?この色魔!」
目黒の言葉は随分だったが、昨夜から今朝にかけて瀬田にされたことの数かずを思い返してみた秋川は、致し方ないか。とも思う。
それにしても、好みのタイプが瀬田や水原ということは、目黒はそれなりに面食いなのだろう。
このノリでイケメンを口説くのだろうか?
それはもう既に、秋川の想像力の限界を超えていた。
「違いますよ。目黒さん。おれは色魔なんかじゃありませんよ」
絵に描いた様なイケメンさわやかスマイルで否定する瀬田を、言われた目黒はもちろんのこと秋川も又、疑わしい目で見つめた。
「おれは大エロ温泉物語なんですよね?慎一さん」
最初のコメントを投稿しよう!