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部屋へと戻った秋川が、習慣の手洗いうがいの次に取り掛かったのは、ワインを選ぶことだった。
今日買った(引き換えた?)バローロは昼から飲むには重いので、買い置きのスペインのロゼにする。
邪道も邪道だが冷凍室で冷やしている間に、先程デパ地下で買い求めてきた惣菜類を皿へと移した。
同じ系統の料理はなるべく、大皿へと一緒に盛り付けてしまう。
食事の写真を撮ってSNSにアップをするようなまめな趣味は、秋川にも瀬田にもない。
ただ、作る手間を省いている分、それくらいはしたかった。
「ロゼワインって、甘いイメージがあったんですけど」
「イマドキは、そういうのは流行らないらしいな。味はほとんど白だよ。可愛らしい色をしているから、甘く思うのかも知れない」
今、普段使いのグラスに注がれているのは、ピンクと言うよりは透明な赤と言った方がいいワインだった。
目をひく鮮やかな色だが、けしてどぎつくはない。と秋川は思う。
昼食兼つまみとして、目に留まった美味しそうなものは手当たり次第に、つまりは食べたいだけ買ったので、けして広くはないテーブルの上はほぼ皿で埋まった。
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