178人が本棚に入れています
本棚に追加
スパークリングと同じで、ロゼも大抵の食べ物に合うな。と秋川は、揚げたジャガイモが入ったスペイン風オムレツを食べた。
見れば瀬田は、エビ春巻を一口で頬張っている。口元から赤いエビの尻尾が覗いていた。
たまたまだろうが今朝方の中華粥といい、チャイニーズ付いているな。と思った。
「昼酒っていいですねぇ・・・・」
実にのんびりとした口調で、瀬田がつぶやく。
ロゼワインのグラスを片手に寛いでいるその姿は、まるでワインメーカーの広告の様だった。
秋川としては瀬田程に酒は強くない自覚があるので、例え休日であっても、昼酒は極力控えていた。
酒は好きだが、貴重な休日を飲んだくれて終わらせたくはない。
でもまぁ、今日はいいだろう。もう出掛けないし、食べて飲んで、眠くなったら寝てしまえばいい。
秋川はグラスを掲げて、真昼の光にワインの色を透かして見た。思わず笑みがこぼれる。
キラキラと光って、まるで宝石を溶かしたかの様だった。きれいだとすら思った。二千円もしない、デイリーのワインなのに。
「慎一さん?」
「いや、楽しいなって思って」
ワインに見とれていたとは正直に言えない秋川は、そう誤魔化して笑った。その笑顔をそのまま、瀬田へと向け、言った。
「ありがとう。晴季。その、色いろあったけど・・・・」
楽しかった。とはさすがに言い切れずに口ごもる秋川に、瀬田は続きをねだらなかった。
その代わりに、
「そっちに行ってもいいですか?」
最初のコメントを投稿しよう!