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勇者は魔王を倒す前にやるべきことがある
魔王最終決戦前夜。勇者である俺は仲間を宿屋の一室へと招いた。最終決戦前ということもあり仲間ふたりの顔は決意に満ちた表情を見せている。本来ならば月明かりが入るはずの部屋は魔王が星のエネルギーを吸収しているために朝も夜もなく、暗いまだら色の空が広がり太陽も月も星も姿が見えなくなってしまっている。ただ揺らめく蝋燭だけが俺たち3人を照した。
「お前たちふたりに大切な話がある」
木製の椅子に腰掛けたまま俺はゆっくりとしっかりと言葉を伝える。ふたりの視線は俺に向き。緊張感で空気がぴりついた。
「魔王城はすぐ目の前だが、その前にやるべきことがある」
ここで一度言葉を切って仲間をしっかりと見吸えた。
「俺たちの名前を改名することだ!!」
椅子から立ち上がり右手を前に突き出す。一カメ、二カメ、三カメと、様々なアングルから俺を映し出す勢い。仲間のふたりは固まる。
「は?」
初めに硬直が取れたのは後方支援をしてくれている、アーチャー
の男。長身に黒髪のイケメン。正直主人公の俺よりも彼のほうが人気がある。そのせいもあり主人公なのに影が薄いという現象が起こっている。
「どういうこと?何で??」
次にようやく現状を
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