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金木犀
翌日から、文化祭準備がはじまった。
プラネタリウムの投影機は、市販のものを使う。クラスに持っているひとがいるらしい。あとは、段ボールで暗いドームをつくったり、星に関する展示をしたり、飾り付けたり。
放課後、みんなが教室で段ボールを切ったり貼ったりしている中、私と羽村くんは図書室にこもって資料とにらめっこ。
「文化祭本番の日の、中学校上空の天体の解説と、あとは、秋から冬のオーソドックスな星座の解説でいいんじゃないかな」
たんたんと、羽村くんは告げる。
「当日の空については、星座アプリで調べておいた」
「すごい……」
私、なにもやってない。あわてて、星の本をめくって、星座のページをひらいた。
「わたし、知ってるの、オリオン座だけだ……」
夜空を見たって、星座なんてわからないもん。
「オリオン座のベテルギウスは、もうすぐ寿命を終えようとしている星らしい」
「星が? なくなるってこと?」
興味をそそられて、本を見た。
「ベテルギウスって、太陽から640光年も離れているんだ……。光が届くまでに、640年もかかるってことだよね?」
「そういうことだな」
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