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「ビールで…いい?」
「はい…。いえ!お構いなく…」
彼が、冷蔵庫から缶ビールを2本取り出し、私の目の前に置いた。
プシュッと音をたてて、彼の缶が私の缶に合わせられる。
「とりあえず、カンパイってことで」
ゴクッと喉を鳴らして、ビールを流し込み、彼が私の隣に腰を下ろした。
半ば強引に手を引かれ、勢いで彼の部屋まで来てしまったが、とても乾杯などする気分ではなかった。
緊張して強張っている私を見て、彼がクスッと笑った。
物凄く広いリビングには、必要最低限の物しか置かれていない。無機質なたたずまいは、あの日とは少し印象が違って見えた。
彼は、何も言わなかった。
けれどそれは、怒っている訳でも責めている訳でもなく、ただ静かに、私が落ち着いて話し出すのを待ってくれているようだった。
もう、覚悟を決めなければ…。
彼に想いを伝える時がきたのだ…。
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