第4章

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何から話せばいいのか…。今更ながら戸惑ってしまう自分がいる。 目の前の缶ビールを開け、グイッと一口飲んだ。 「透とは…あの日、別れたんです。離婚届を渡して…食事をして…なんとなく一人になりたくなくて…お店に…」 「うん」 唐突に話し出したにもかかわらず、彼は静かに頷いた。 「まさか、二宮さんが来るなんて思わなくて…でも、私だと気づかれないのをいい事に…あんなことを…」 自分で話しながらも、なんだか他人の事を打ち明けているような気分になる。それは、肝心なことを避けているからなのだろうか…。
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