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「俺は確かにあの時、愛音を抱いた。だけど、それは実体のない夢みたいなもんで…。俺がほんとに欲しかったのは、多分…。愛音じゃなくて…」
その瞬間、私は自分から唇を重ねていた。
もう、いい…。
ずっと一方通行だと思っていたこの想いが、実は報われていたなんて…。
予想外の彼の告白を最後まで聞いてしまうなんて、勿体ないとさえ思ってしまった。
彼は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに私を受け入れた。
さっきまでの熱が再び呼び覚まされ、お互いに激しく求め合った。
あの日、愛音として抱かれた時はあんなにも切なくて苦しかったのに、今は彼のしぐさ、声、汗…。すべてが私に喜びを与えてくれる。
決して夢なんかじゃない…。
目が覚めても、あなたはずっと私の隣にいてくれるでしょう?
最後の瞬間、彼が耳元で微かに囁いたのを私は聞き逃さなかった。
「スキダヨ…メグミ…」
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