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「おはようございます…」
「おはよう…」
今日こそはマスターより早く出勤するつもりが、店のドアはすでに開けられ、ちょうどマスターが掃除を始めるところだった。
例のごとく、私はマスターからモップを取り上げ、床をゴシゴシ擦り始めた。
マスターは、フッと笑って、カウンターに入りグラスを磨き始めた。
「休んでもよかったのに…」
「ど、どうしてですか!?」
私が動揺すると、マスターがニヤニヤしながらこちらを見た。
「たまにはゆっくりと…。ねえ?」
「そんなんじゃないです…」
マスターの勘繰りに思わず照れて、うつむく。
結局、昨夜はお互いのすれ違った日々を埋めるべく、朝まで何度も気持ちを確かめあった。
彼の余韻が、まだ私の身体に残って全身が熱くなる。
マスターの誘導にいとも容易く顔が反応して頬が緩む。
「でも、久しぶりに見たね。君のそんな顔…」
マスターが、満足げに微笑んだ。
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