第4章

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「え?そう…ですか?」 私は驚いて掃除の手を止めた。 「君は瀬野から預かった大事な娘です。幸せになって欲しかった…」 「マスター…」 マスターの優しい言葉に思わず泣きそうになる。 「越くんは大丈夫ですよ。あの後話を聞いているうちに落ち着いてくれました」 透のことは気になっていたが、マスターから言われるまですっかり忘れていた。 「透なりに私を気遣ってくれていたんでしょうか?私を裏切ったという、後ろめたさが…」 「うーん…。どうですかねー。男はいざとなると度胸がなくなるんですよ。だらしない事に…」 「そうなんですか…」 あんなに友紀さんと一緒になりたいと思っていたはずなのに、いざ手に入るとなると迷うものなのだろうか…。 透がやり直そうと言ったのは、やはり一時の気の迷いなのだとしても、私が彼との事を打ち明ければ、透も前を向いて友紀さんと歩いていけるのではないか。…と思った。
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