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「そういえば…」
私は、ずっと疑問に思っていたことをマスターに尋ねた。
「私が風邪で休んだ日、彼もお店に来ましたよね?いったい何を話したんですか?」
マスターはグラスの曇りを確認しながら、うーんと唸った。
「そうですねー。それはまあ、男同士の秘密ってことにしておきましょう」
マスターがグラスを照明にかざしながら言った。
「はあ…」
多少納得はいかなかったが、男は常に優位に立ちたいものらしいから、私に知らないことがあった方が都合がいいのだ…と思うことにした。
「和さんは…大丈夫でしょ?おそらく…」
「はい…」
「彼だって男には違いないけど、意外と腹は据わってると思いますよ」
マスターはまた優しく笑った。
今まで散々回り道をした分、これからは彼と一緒に、どんなことでも乗り越えていこう…。と強く願った。
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