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「いらっしゃいませ」
そろそろ閉店の時間を迎える頃、店のドアが開いた。
「まだ平気?」
「はい、大丈夫ですよ」
「はー、つっかれたー」
彼が定位置のカウンターの真ん中の席に座る。
「お疲れ様でした。どうぞ」
私は彼の前にハイネケンの入ったグラスを静かに置いた。
彼が軽く頷いた後、それをゴクゴクと飲み、フーッと息を吐く。
「何か、すっげぇ久しぶりな気がする…」
「え?この前来てくれてから一週間ですよ?まだ」
彼と気持ちを確かめあってからも、お互いの生活が特別に変化することはなかった。
仕事終わりに彼が、お店に寄ってくれてお酒を飲む。
忙しければそれも叶わないが、それでも次の日に差し支えなければ、どちらかの部屋で過ごすこともある、と言うのは、私の精神的には随分と変化があったと言えるだろう。
今月から、ライブの準備も始まり、彼は多忙な毎日を過ごしていた。
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