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「さすがに、もうお客はいないね」
彼が、グラスに残ったビールを飲み干して言った。
「そうですね。平日だし…」
私は空になったグラスを片付け、二杯目のビールを入れようとした。
「あ!今日は…」
「え?もういいですか?」
「や…マスターは?」
私の質問には答えず、彼が聞いた。
「ああ、昨日から買付で北海道に…」
「そっか…」
彼はマスターがいないと聞くと、ホッとしたような、少し戸惑ったような表情を見せた。
「何か違うものにしますか?」
私が尋ねると、彼はさらに困った顔をした。
何かあったのだろうかと不安になっていると、私の表情に気づいた彼が意を決したように言った。
「じゃあ…。スプリッツアーを二つ下さい」
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