羽毛布団契約

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校長を言いくるめ、晴れて自由の身となった俺は今鬱男の部屋らしきところにいた つま先を浮かせた状態で 「…おいなんだこの汚さは 足の踏み場はないわ、生ゴミくさいわ、 薄暗いわ、燃やしてやろうか」 まず目につくのは埃の積もった大量の本、形ばかり積み上げられているがなだれを起こしているものがほとんどだ 次に春だというのに毛布、冬用の掛け布団、膝掛けなどが無造作に置かれている さらには脱ぎっぱなしの寝間着やパンツが山を作っていた 最後に目も当てたくない台所 汚れの残った食器が水の張ったシンクに置きっぱなしにしてある 水には油が浮き固まっている 生ゴミは袋から溢れかえっていて凄まじい腐敗臭を放っている 軽く殺意を覚えていると ベイセル 「男の部屋ってみんなこんなもんじゃない?友達の家行ったことないから知らないけど」 よいしょ、と本や衣服を押しのけて道をつくり座るよう催促する 床には髪の毛やしわくちゃの領収書があった ここに座れと 「一緒にするな こんなごみ屋敷滅多にお目にかかれないぞ 燃やしてやろうか」 俺の部屋も汚いがここまでではない
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