27 SIDE-Ken

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ステンレス製品に紛れ込ませた、実用的なナイフが30万VND(1,500円)。 当局の摘発対策か『スイカ用』とポップも用意している。 俺はこの売り場に狙いを付けて、裏手側に廻り、交渉した。 店主は話が早かった。 様々な商品を出しながら値段を告げて来る。 「日本刀は50万VND(2,500円)、特殊警棒は120万VND(6,000円)、スタンガンは300万VND(15,000円)からだ」 「ナイフは良く切れるダガーナイフを探している。後は使用履歴のないトカレフもだ」 「こいつはどうだ?」 店主が薦めてきたきた拳銃の銃口・銃身、そして匂いを確認する。 「だめだ。これは使用履歴がある。それにトカレフではなく、中国製の黒星(ヘイシン)だろう?」 「あんた、若いのに、何者だい? トカレフもあるにはある。だが、桁が変わっちまうよ」 只の観光客ではないと察した店主は、奥から丁寧に俺のオーダー品を持ってきた。 「US$で払う。足がつかないようにしたい。それとこれは口止め料だ」 「大丈夫さ。帳簿なんて存在しない。この(ブツ)もドルもね!」 店主は嬉しそうに対価とは別にベンジャミン・フランクリンが描かれた紙幣の束を受け取った。
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