05 SIDE-Ken

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シャワーを浴びながら僕は、チンピラとの事を考えていた。 いつからビーチにいたのかなんてことは、夜明けからずっと考えて答えが出なかったから諦める。 今、気になっているのは、自分の身のこなしだ。 意識的にというよりは、無意識に、反射的に攻撃していたからだ。 武術か、特別なマーシャルアーツの訓練を受けていたことになる。 そこまで思案が巡ると、例の鈍痛が頭を襲った。 そして、ロアンの『ただのcôn đồなんだから』という台詞(セリフ)。 そう言われて、なぜか『こんどうさん』という名前が脳裏をよぎった。 脳裏をよぎると、頭に霧がかかり、鈍痛が響く。 そういえば、チンピラは韓国語だと곤다르(ゴンダル)、日本の関西だとごんたくれと表現する。 côn đồも곤다르もごんたくれも、同じ言葉が方言の様に枝分かれしたのかも知れない。 いや……何で僕にはそんな無駄な知識があるんだろうか。
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