05 SIDE-Ken

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「済まんね。ずっと昔に息子が――つまりロアンの父親が――着ていた服じゃ。 こんな物しかなくてね。 それに、シャワーを勧めるのも、こんな爺さんよりも、ロアンからの方が色気があったじゃろうが」 「Điên à(ディエン アー=変なこと言わないで)!」 と言いながら、お祖父さんの腕にビンタするロアン。 行動とは裏腹に、彼女の頬は、うっすらと紅潮していた。 気の良いお祖父さんは、済まん済まんと言いながら、高笑いしている。 元々僕が着ていた服は、ロアンが洗濯してくれていた。 「はいはい、そんなことよりも、朝ご飯。もう今日は遅くなったからお腹ペコペコよ」 一つ咳払いをして、自分のペースを取り戻すロアン。 僕はこの一家の温かい好意を素直に受け取った。
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