26 SIDE-Loan

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26 SIDE-Loan

ケンが出て行ったのは昨夜だった。 コリアン・バーから救出され、そのまま夜明けを待たずして出て行った。 すぐに戻ってくると想っていた。 あれから1日経ち、夜になるのにまだ帰って来ない。 今夜はお祖父さんの誕生日なのに。 夜には、楽しくバースディパーティを3人でしたかった。 もう彼は、ここには戻って来ない……。そんな予感がした。 「お祖父さん、ケンを探しに行ってきても良い?」 彼は無言で頷いた。 玄関先までオーネストが尾いてくる、僕も一緒に行くと言いたげだ。 「だめよ」 行先は分かっていた。 あの封筒に書いてあった場所。 タクシーの中で覗き見た住所のメモを想い出す。 でも、わたしが行っても、そこに待っている現実は……。 Maybe Blue……。 多分、憂鬱……。
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