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けれどΩには一ヶ月に一度の頻度で発情期があり、その期間中はαとまれにβまでもを惹きつける甘い香りの性フェロモンが放出される。その発情期のフェロモンにαが当てられ、性交渉すると妊娠率は百パーセントまで引き上げられる。αは基本的にはフェロモンに抗えない。
人類滅亡の危機を救ったのはΩがいたからだ。βにはそこまでの能力はない。これは数の少ないΩが種を残そうとする生存本能なのだが、優秀であるαを惑わし子を孕んでしまうので、人口が元の水準に戻ってからはよく思われなかった時期がある。
Ωの発情期は十八から二十歳までに訪れ、ルシアンは奇しくもΩ性だった。両親ともにαだったので驚かれたが、過去に一度でもΩの血が混じれば稀に生まれてしまうようだ。
そしてルシアンによく絡んでくるデリックはα性。普段から素っ気ない態度のルシアンを待ち伏せし、どこから手に入れたのか発情期を誘発する注射を打たれてしまった。当時は十七歳で、まだ発情期は来ておらず、対処法は習っていたとはいえ、前触れもなく突然だったので混乱してしまった。
一発逆転を狙うためにわざとαを誘うΩもいるため、性犯罪に巻き込まれるとΩの立場はあまりよくない。
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