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「君たちは既にお互い同意の元で番ったようだから、今となっては確かめようがないけど、僕は君と熊谷は『運命の番』なんじゃないかと思ってるんだ」
「ええ!? でも、『運命の番』って、そもそも出会うことすら殆ど有り得ないことだって……」
「そう、確率的には相当低い」
巡り合うことが非常に珍しいとされている『運命の番』の元に、フラリと訪れた町で偶然辿り着くなんて、そんなドラマや映画みたいな話があるんだろうか。
「……先生は、どうして俺と熊谷さんが『運命の番』だって思うんですか?」
「もしかして…、と思ったのは、君が初めての発情期でウチに来たときだよ。Ωの発情期っていうのは、本来理性で抑えられるものじゃない。心はどんなに拒んでいても、身体が本能的にαを求めてしまうんだ。それが初めての発情期となれば、尚更わけもわからず本能的な欲求に振り回される。だけど君は、最後までずっと熊谷のことを求め続けていた。────熊谷もそうだ。君の発するフェロモンに、熊谷は異様なほど過剰に反応していた。抑制剤を投薬し続けて、少しずつでも薄れているはずの君のフェロモンを、熊谷だけはずっと感じ取っていたんだ」
「……そう言えば熊谷さん、最初の発情期で俺をここに連れてきたのは、思わず番ってしまいそうだったからって言ってた……」
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