4204人が本棚に入れています
本棚に追加
「……麒麟は、年々母さんに似てくるな。栗色のこの髪も……長くて綺麗な睫毛も……」
陶酔した様子でそう言いながら、義父の手が麒麟の髪や頬を何度も執拗に撫で回す。その手付きは、完全に父親が息子に触れるそれとは違っていて、麒麟はそこで初めて、義父に強い恐怖を覚えた。
「な……何してるんだよ、義父さん……! 俺は母さんじゃない……!」
震える声で訴えたが、義父の手は止まることはなかった。
それどころか、義父の手は麒麟の首筋を通って、ゆっくりと胸元へ下りてくる。
「当たり前だよ、麒麟。お前は母さんとは違う。こうして触れれば……すぐにわかる」
義父の掌が、まだ発育途中の麒麟の薄い胸元を、いやらしい手付きで撫で上げる。
「……っ、やめ……ッ! 義父さん……っ!」
どうにか逃れようと身を捩る麒麟の声も、義父には届いていないようだった。
「お前が発情期を迎える日が楽しみだよ、麒麟……」
麒麟の柔らかな髪に口付けて、ねっとりとした声音で呟いた義父に、麒麟は心底ゾッとした。
この人は母の夫で、母と愛し合っていたはずで……なのになんで、どうして、とそれしか頭に浮かんでこず、震えることしか出来ない麒麟を残して、義父は何事もなかったかのように部屋を出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!