第八話

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 浴室の壁に背中を預けるように凭れかかると、タイルのひんやりとした感触が熱を帯びた身体には心地良かった。  そのまま、シャワーに手を伸ばそうと少し体勢を変えた瞬間。ツ…、と後孔からトロリと何かが伝い落ちてくる感触にギクリと麒麟は身を強張らせる。  後から後から溢れ出ては麒麟の内腿を伝って零れるそれが、熊谷が麒麟の体内に残した精なのだとわかって、思わずシャワーを持つ手が震えた。  どうにかコックを捻ってシャワーを頭から被ったものの、溢れる精はなかなか止まってくれなかった。何せ途中で記憶も無くなっているだけに、一体どれだけ熊谷が麒麟の中に欲を放ったのかもわからない。  洗わないと、と頭では思っているのに、それに反して麒麟の身体は昨日の熊谷を求めるようにドクドクと疼き始める。シャワーの湯が肌を叩く感触さえも、麒麟の肌を這う熊谷の手を思い起こさせて、麒麟はシャワーを握ったまま浴室の床にしゃがみ込んだ。 (……どうしよう……)  心は躊躇っているのに、右手が勝手に後孔へと伸びる。 「あっ……!」  震える指先が入り口に触れただけで、思わず声が漏れた。浴室内に響いた自身の声に、慌てて唇を噛み締める。  シャワーで洗い流しているそばから、いつの間にかすっかり芯を持っていた性器の先端から欲望が染み出してくる。     
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