scene 1

12/13
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
「好きだったんでしょ? 響子ちゃんのこと」 「は? 何言って……」 「なになに? あたし? あたしはねー」 突然、絡み酒真美が割り込んできて、聞かれてもないのに勝手に喋り始める。 「いや、聞いてねーし」 麗華と俺は、声を揃えてつっこんだ。 「ちょっと! 今いいとこだったのに!」 麗華が真美の腕を掴んで睨む。 「いや、もういいんだ。で? 真美は今、何してんの?」 思わぬ助け船に感謝しながら、俺は話の矛先を変えた。 「ええっとぉ。あたしはねぇ。駅前の不動産屋でぇ……」 どうやら不動産屋の事務員をやっているらしい真美は、たどたどしい日本語で近況を語り始めた。 屈託のない性格は、今も健在である。 真美の話を皮切りに、俺、翔馬、由紀、麗華、真美の五人は、しばらくお互いの近況を報告し合った。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!