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またガタガタと言いながら馬車は進む。来るときの物とは違い、窓がしっかりとあった。町の様子が見える。町は帰ってきた子供たちを迎える祭りで湧いている。ミーシャはそれを眺めていた。
「あ......」
その町の雰囲気にそぐわず、膝をついてうずくまる人が2人いた。ミーシャの母親と父親だった。その回りにはユリア、ハウワー、アエル、ノイリー、シュンがいる。その近くにはリィラの母親と父親が立っている。酷く怒っているようだった。
「リィラ、お母さんとお父さんいるよ。」
リィラはミーシャが話しかけてもうつむいたままだった。ミーシャはもう一度外を見て泣き崩れる母親と父親を見ていた。
「お母さーん!お父さーん!私海見てくるだけだからー!!またねー!ありがとうー!」
騒いでも無駄で聞こえやしない。こんなに叫んでも届かない。それでも言えることは言わなくてはと10年生きた彼女にはわかったようだ。しかし泣き崩れる両親と友人をみるとやはり寂しさが込み上げる。ミーシャは窓から離れ、視線を下げた。
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