裁判 -Rdar-

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「到着だ。降りろ。」  先程の人が馬車の扉を開けた。海辺の強い風が吹く。海に着いた。馬車から降りると、キラキラ光る町が見えた。さっきの光景を思い出すとこれから起こることよりも苦しい。 「嫌ーー!お母さん助けてー!私ここだよー!」  リィラは町に向かって泣き叫ぶ。きっと届いてはいない。先程まで重さがなかった足枷は重みを増していく。歩みを進めると夜空よりも深く黒に染まっている【黒の(グロジア)】が彼女たちの目の前に広がった。 「これより、【死儀(ラクデァーナ)】を行う。」  彼女たちを馬車に乗せた軍人と同じ格好の人が五人彼女の回りを囲み、何語かわからない言葉を唱える。それに二人は恐怖を覚え、リィラはいつも標的にしているミーシャの腕にしがみついた。その時二人はある変化に気付いた。 「ふ、服が...!」  真っ白だった服が下から黒く染まっていく。彼女たちの体を這うように徐々に上へと上ってくる。ミーシャも怯えるリィラもその様子を見ていた。いや、その様子から目が離せなかった。 「あまり見ていると喰われるぞ」  呪文の隙間から聞こえた声。しかし、その言葉は遅かった。 「痛っ...!」 「痛い!」     
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