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フンッと鼻息を荒くしてアミアは帰っていった。次の選挙というのは、上級校の生徒をまとめる長を決める選挙である。彼女はそこに立候補していた。しかし、これを町の真ん中でやってよく広まらないと思ったものだ。
「ごめんね、アエル...。普段あんな人じゃないから連れてきたの...。」
「ううん。ハウワーは悪くないから。ほら、ミーシャとリィラに会いに行こう。」
アエルはハウワーに笑いかけた。
「じゃあ、見える場所案内するからついてきつくれ!」
ノイリーは意気揚々と海への道を歩いていく。海の近くには木が茂っているため町の光が来ない。シュンが持ってきたランタンで辺りを照らしながら歩く。歩いていると1m程の木の柵が見えてきた。
「ここだよ...白い手が見えるスポット...。」
皆が柵から海を覗き混む。しかし、真っ黒な波がたつのみ。アエルたちはまず花を手向け、そのあと海をランタンで軽く照らした。
「シュン、照らして!見えない!」
「これ以上前に出して落としたら俺が怒られるんだぞ!」
ユリアは早く見たいようでウキウキしている。シュンはランタンを落とさないようにゆっくりと水面に近づけていく。水面が光を反射する。そのときだった。
「あそこ!何か来てる!」
ユリアがランタンの下を指す。光の白とは異なる白いものが水のなかで蠢いていた。波のせいなのかそれはゆらりゆらりと揺れて見えていた。
「も、もしかして...」
「白い手!!?」
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