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皆がざわざわし始める。それはそのざわつきのなかで姿を表した。
「ギャー!」
白い手のひらが水面の数十センチ下に現れた。
ピーネたちは目を覆ってもと来た道を逃げ帰る。ハウワーも小さく悲鳴をあげて目を隠す。シュンはランタンを離さないようぎっちりと握り、その手を凄い速さで引っ込めた。アエルとノイリーは口が開いたままだ。意気揚々としているのはユリアだけだ。
明かりを遠ざけるとその白い手も遠退いていった。
「ほ、本当に出たー!」
「ユリア、お前、よくそんなテンションでいれるな?!」
「え?だって凄いじゃん!」
「ユリアこういうの強いね...。」
ユリアはこのようなおっかないものが得意である。シュンのようなびびり属性ではない。
「ノイリー!やったね!記事にできるね!」
「お、おう...でも、もう一回見よう。幻覚かも...。」
「私も見る!」
ノイリーとユリアがもう一度覗き混む。シュンがしぶしぶランタンを持ち、海に向けるとまた手が浮かんできた。しかし、やはり数十センチ下で手を開いたり閉じたりしている。
「あそこまでしかこれないのかな?」
「あ、ハウワー大丈夫?」
「大丈夫。あの手あそこまでしか浮かんでこないよね...さっきから。」
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