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完全に「裏切ったら承知しないぞ」と言いたげな視線を二人に送り、意を決して腕をまくる。そして柵の下に手を入れる。
「う、海に入れるぞ!」
そこにいる全員が息を飲む。シュンとノイリーがしっかりとアエルの体をつかんでいることを確認し、アエルは手を海の中に入れ始めた。ユリアが海を照らす。ゆっくりと白い手も上ってきた。
「来た来た来た!」
「...よし、掴むぞ!」
アエルは一呼吸おき、腕をその白い手の方へゆっくりと伸ばす。白い手もそれに気付き、アエルの手の方へと向かう。
「アエル!もっちょっと下!」
「皆落ちないでね...!」
ハウワーは祈るしかなかった。アエルの腕は深く海に入っていく。
「...!」
この時、アエルが何かに気付き、腕をさらに深く海に入れる。シュンとノイリーは驚いてアエルを掴む手に力を込めた。
「手掴んだよ!」
アエルは白い手を掴み、何故か引っ張りあげようとする。それには全員ぎょっとしていた。始めに正気に戻ったのはシュンだった。
「お、お前!何やってんだよ!?」
「...助けてほしくて手をあげてるんだよ!シュン、ノイリー!もっと引っ張ってくれ!」
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