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シュンがランタンでその白い手の主を照らす。髪は全身をまとうように長く、服はボロボロで主の体にはあっていなかった。所々黒いもので継ぎはぎに縫い直されていた。靴はなく裸足で、足首にぐるっと赤いあとがあった。そして、左腕にはブレスレットをしていた。
「おい、こいつ...!」
照らしていたシュンは気付いた。その声でノイリー、ユリア、ハウワーもその白い手の主をまじまじと見る。
「うん...ミーシャだよ。この子。」
7年前に【落者】になったミーシャと思われる人が白い手の主だったのだ。彼女は今も浅い呼吸を繰り返して、眠っている。
「う、海でどうやって生きてたのよ?!」
「エラ呼吸できたっけ...?人って...?」
「で、できる訳ねーじゃん?!」
「一緒に落ちたリィラやほかの落ちた人たちはどうなってんだ?」
皆ミーシャと思われる人を怯えだした。その時、ピクリと白い手が動いた。そして大きく伸びをしようとしたところで壁に手を強打しうずくまった。
「ミーシャ?」
アエルがそのうずくまる黒い塊に声をかける。頭部がこちらを向いたが、表情が全く見えない。ミーシャと思われる人は伸びきった髪の隙間から全員を見る。するとパァと雰囲気が明るくなった。
「...!」
口をパクパク動かすが、声が出ていない。それに本人も気付いたようで口を押さえた。
「ミーシャ...なの?」
今度はハウワーが問いを投げた。その人物は大きくコクンと首を縦に振る。
「ミーシャー!!」
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