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ノイリーとシュンはあわあわしているがアエルはそこまで激しくは驚かなかった。ミーシャが紙に「これは私もわからない」と書いた。彼女の焦りようからも今初めて知ったことがよくわかる。
「しかも何かから引っ掛かれた痕もある...」
アエルはミーシャの左目の瞼を指す。そこには細くだが何かで引っ掛かれたような二本の線があった。皆からの「何かわかる?」という視線に対し、ミーシャは手をブンブン横に振った。それも分からないらしい。ここで、ノイリーが大事なことに気づいた。
「ところで、ミーシャどうすんの?ここ置いていくの?」
「あ...。」
その場の全員が固まった。
「今通りに出すのは危ないんじゃない...?あと6日で【最後の祭】だから人通り多いし、見つかって騒がれるのは不本意だよね。」
「ねー?」とユリアがミーシャに同意を求めた。ミーシャも大きく頷いた。「戻されたら嫌」と紙に殴り書いて皆に見せた。よっぽど嫌らしい。
「じゃあここにいるの?一人になっちゃうよ?」
「アエル、だからと言って誰かの家に連れて帰るのも良くない。もちろん、本人の家にも。」
「そっか...。」
アエルはミーシャを心配するが、シュンは混乱を避けるためだとアエルをおさめる。
「ミーシャ、また明日の来るからね。それまで1人でここにいるんだよ?」
「滅多に誰も来ないだろうけど、あまり出歩いちゃだめだよ?」
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