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ミーシャは悲しそうに笑う。アエルは何も言えなくなってしまった。そこでアエルはあることを思い出した。
「そうだ。毎年ミーシャのお母さんジュア作って5人の家にお裾分けしてくれるんだ。もちろん、ミーシャの祭壇にも。初めは涙流しながら家々を回るから、凄い悲しいのに何もしてあげられなくて悔しかったなぁ。去年はあまり涙出てなかったけれど。」
あと2日に迫った【最後の祭】のことを思い出したのだ。ミーシャが落ちてからのエピソードを話すとミーシャは顔を赤くして両手でその顔を覆った。
「もう、お母さんそんなことしなくて良いのに...。恥ずかしい...。」
「また作ってるんじゃないかな...?あぁ、ごめん。そろそろ時間だから行くね。朝これしか買ってこれなくてごめんね。夕方また来るから。」
「うん。またあとで。学校頑張ってね。」
ミーシャはヒラヒラと手を振り、アエルを見送る。アエルが買ってきたのは市場のサンドイッチだった。新鮮な野菜と良い匂いのチーズが挟まったサンドイッチ。ミーシャはそれに手を合わせて頬張った。
「んふー!美味しい!」
美味しいと口にはしておきながら「お母さんとお祖母ちゃんのには敵わないけど」と心の中では思う。ミーシャは根っからの内弁慶のようだ。
「それにしても...暇ね...。」
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