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小屋のドアを開けたノイリーが短い叫びをあげる。その後ろにいたシュンとアエルはその声に驚く。
「ノイリーうるさい!」
「い、いやいやいや!ナグゥ何してんだよ!」
「おや、ナグゥにばれちゃったか。」
「まあ、ナグゥなら大丈夫か。」
わたわたするノイリーをよそにシュンとアエルはしれっとしている。3人が入ると小屋はずっと狭くなる。
「はい、ミーシャに夕飯。」
お弁当箱に入った赤いスープに浸かった麺の料理を差し出す。この地域ではジンレと呼ばれる。
「ありがとう!アエル!」
「アエルさん、ネーネにいつもご飯持ってきてたんですか?!すみません!」
「え、いや、いいんだよ。」
ナグゥは何度も頭を下げる。アエルはその勢いにたじたじ。狭い小屋のなかなので、頭を思い切り下げられるとぶつかりそうである。
「そうだ!ネーネ、ジュア持ってくるよ!明後日【最後の祭】でしょ?」
ナグゥが前のめりに突然言う。ジュアはミーシャとナグゥの母親が毎年作っているものでミーシャの大好物。
「その日なら外出れるんじゃない?人で賑わってあんただってきっとわかんないよ!」
ユリアがポンと手を叩きながら言う。たしかに、祭りはかなり賑わい、人がひしめき合う。人の顔をいちいち認識はできない。
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