祭りに向けて -Feniita-

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「でも...、そうしたらもう戻れないよ...。」  ミーシャは暗い無音の海の中のことを思い出す。それの対となる祭の雰囲気。それに染まればもう無音の世界には戻れないと思った。 「何戻る前提で話してんのよ!戻んなくていいのよ!」 「そうだよネーネ!バレなきゃいいんだよ!」 「僕がずっと隣いるから、何かあったら対処するよ。」 「さっすが武道部(ハティーナ)!」 「アエル、武道部(ハティーナ)なの?!凄い!」 「だから、ある程度大丈夫よ!ミーシャ!」 「うん!ある程度!」  アエルは学校大会では上位5位には入ったことがある。去年は決勝トーナメント予選落ち。そのため【ある程度】を連呼されている。 「警軍に見つかったらまた落とされちゃうのかな?」 「それは...わからないけど...。」 「そのときは...そのときだろ。」 「...たしかに。今楽しまなきゃね!」 「そうだ。それこそ、俺らの知ってるミーシャだよ。」  一瞬暗い顔をしたミーシャだったが、いつも通りの笑顔になった。  警軍と言うのは、悪魔直属の町の警備を行う軍隊である。何を見張るのかもわからないがある屋敷によく集まっているのが町の人々に目撃されている。そこは警軍の寮なのだそう。     
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